時間外通用口の住人、旅立つ、か? [スローライフ]
私は蛙です。「あまがえる」です。今は緑色をしています。
名前はありません。
眠そうな目をしているとよく言われますが、眠くはありません。
生まれつき、いえ、成人してからはずっとこんな目をしています。
私は名前のとおり雨が大好きなのですが、今年の梅雨は雨が少なく、
早くから夏の陽射し攻撃を受けたので少し元気がありません。
そんな影響が少しあるのかもしれません。
私が住んでいるところは、KM株式会社の時間外通用口のプレートの上です。
奥行きは2cm、幅は30cmですから行動範囲はとても狭く窮屈です。
なのに何故こんなところにいるか?って言うと、
私の15cm上には通用口の外灯があるからです。
夕暮れが迫り、外灯に灯がともる頃となると、虫たちがワサワサと集まってきます。
これぞ「飛んで火に入る夏の虫」。
私は、ここに居るだけで食べるに困らないって訳です。
こんな風に書くと、怠け者みたいに見られがちですが、何にでも苦労は付き物。
困ったことのひとつやふたつはあります。
まず、ここの高さが160cmありますから、簡単に昇り降りができないこと。
近頃、食べ過ぎと運動不足で少々太り気味ですから、
飛び降りるとつぶれてしまいそうでその勇気がありません。
伝い降りるにしても、バックで壁を降りる蛙なんて、想像するに滑稽過ぎて、
プライドがズタズタに引き裂かれてしまいそうです。
仮に無事降りられたとしても、次の夜には再びこの壁を登らなければなりません。
それを考えるだけでも面倒臭くてウンザリもしてしまいます。
そんなことを考えていると、あっと言う間に数日が過ぎてしまいました。
そして、私なるべく地味に生きているのですが、
色が色なだけに、こういう所にいると気付く人間が時々いたりします。
先日は、じっと見るだけでなくて、写真まで撮って行ったおじさんがいました。
なんでも「ブログ」っていう日記に載せるかもしれないそうです。
どうだっていいんですが、私にだってプライバシーってもんがありますから、
静かな生活を脅かすようなことだけは謹んでくださいよ。
あ~ぁ。あまりに変化のない生活にも飽きてきたし、
このままだと、2cmの奥行きに収まらない体型となりそうなので、
そろそろ、降りてみるかなぁ、下界へ。
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